
先日、アメリカの空の玄関口の一つであるシカゴ行きのユナイテッド航空機内で起きた、少し珍しい出来事がニュースになりました。
それは、客室乗務員同士の口論が原因で、フライトが約4時間も遅延してしまったというお話です。
出発前の機内で、お客様の座席移動をめぐって客室乗務員2人の意見が対立し、口論に発展してしまったとのこと。
結果として、安全上の理由から全クルーが交代となり、代わりのクルーが到着するまで、多くのお客様を待たせてしまう事態となりました。
このニュースを聞いて、どのように感じられたでしょうか?
「プロ意識に欠ける」と感じる方もいれば、
「職場で意見が対立することもあるよね」と、共感する方もいらっしゃるかもしれません。
飛行機という空間は、多くの乗客の安全と、限られた時間の中でサービスを提供するという、非常に高いプロフェッショナリズムが求められる場所です。
乗務員は、お客様の快適さと安全を守るという共通の目標を持っていますが、その目標を達成するための「手段」や「判断」において、すれ違いが起きてしまうことは、どんな職場でも起こり得ることなのかもしれません。
特に、ニュースのきっかけとなったのは、あるお客様の
「座席を移動したい」
というささやかな願いです。
1人のクルーは「いいですよ」と柔軟に応じたのに対し、
もう1人のクルーは「ルール違反になる」と反対されたのでしょう。
どちらも、お客様のため、あるいは組織のルールを守るための「正義」に基づいた行動だったはずです。
しかし、その「正義」を譲り合えなかった時、事態は思わぬ方向へ進んでしまいました。
ここで大切なのは、この出来事を単なる「トラブル」として片付けるのではなく、「働く仲間とのコミュニケーション」について考えるヒントにすることです。
私たちも、日常の職場で、あるいは家庭で、価値観や優先順位の違いから、仲の良い同僚やパートナーと意見が対立することがあるでしょう。
そんな時、つい感情的になってしまったり、相手の考えを「間違いだ」と決めつけてしまったりしがちです。
このユナイテッド航空の出来事は、
「一つの目的を共有していても、そこにたどり着く方法は一つではない」
ということを教えてくれます。
もしかしたら、口論になったお二人が、ほんの少し立ち止まって、
「どうすればお客様の要望も叶えつつ、安全やルールも守れるか?」
と冷静に話し合う時間を持てたら、結果は違っていたかもしれません。
私たちは、異なる視点を持つ人との対話の中でこそ、より良い解決策を見つけ出すことができます。
「自分とは違う意見も、同じ目的を達成するための別の道筋かもしれない」と、ほんの少しの想像力と優しさを持って接することができれば、職場の空気はもっと穏やかになり、結果としてよりスムーズで質の高い仕事に繋がるのではないでしょうか。
空の上での出来事でしたが、私たちの日常にも通じる、
「プロフェッショナリズムの根底にある、人としての思いやりと対話の大切さ」
を改めて感じさせてくれるニュースでした。
✈️ 参考(出典記事)
View from the Wing: 「United Airlines Flight Stuck in Des Moines After Airline Forced To Pull Entire Crew Over Flight Attendant Fight」
Travel And Tour World: 「United Airlines Flight Delayed After Flight Attendant Dispute Forces Crew Replacement: What You Need to Know」
PYOK (Paddle Your Own Kanoo): 「United Airlines Flight to Chicago Delayed More Than Four Hours After Flight Attendants Start Fighting」