
関西国際空港が、1994年の開港以来、受託手荷物の紛失件数が「ゼロ」であると発表しました。
なんと! 30年間にわたり取り扱ってきた、国内線・国際線あわせて膨大な数の手荷物。
その間、空港側の不手際による「ロストバゲージ(紛失)」は一度も確認されていない、というのです。
これは、本当に驚くべきニュースです。
航空業界において手荷物トラブルは、ある程度避けられないものとされています。
主要な国際空港で、これほどの長期間「ゼロ」を維持することは、極めて困難であり、世界的に見ても異例中の異例と言えるでしょう。
なぜ「30年間ゼロ」が異常なのか
国際航空運送協会(IATA)の統計を見ても、手荷物の紛失や遅延は世界中で毎年数千万個単位で発生しています。
どんなに巨大なハブ空港でも、最新鋭のシステムを導入した空港でも、完全な「ゼロ」はほぼ存在しません。 だからこそ、関西国際空港が達成した「30年間ゼロ」は、単なる記録以上の、驚異的な数字なのです。
「奇跡」ではなく、積み重ねの話
このニュースを聞いて、最初に思ったことは
「何か特別な最新技術や、秘密があるのでは?」と。
しかし、関係者が語った答えは、驚くほど地味で、アナログなものでした。
- ラベルを必ず人の目で確認する
- 荷物を決して投げない
- 受け取る人が取りやすいよう、持ち手の向きを揃える
- 濡れていたり汚れていれば拭き取る
どれも、マニュアルにある「理想的なハンドリング」かもしれません。
しかし関空の凄さは、それを30年間、毎日、全ての便で徹底してやり切った点にあります。
スカイトラックス社の評価で「手荷物搬送が世界最高の空港」に何度も選ばれている理由も、この実直な姿勢にあるのでしょう。
決して、まぐれや奇跡から生まれたわけではないこの記録。
30年間、当たり前のことを、誰よりも丁寧に積み重ねてきたすべてのスタッフと関係者の皆さまに、心から敬意を表したいです。