
飛行機に乗る時や空港を利用する時、「滑走路」を意識したことはありますか?
日本の成田空港は2本、羽田空港は4本の滑走路がありますが、世界に目を向けると、桁違いのスケールを誇る空港が存在します。
今回は、世界で最も多くの滑走路を持つ「シカゴ・オヘア国際空港」の魅力と、その舞台裏をご紹介します。
圧巻の「滑走路8本」!その特徴とは?
アメリカ・イリノイ州にあるシカゴ・オヘア国際空港(ORD)。
ここには、なんと合計8本もの滑走路があります。
以前のオヘア空港は、滑走路が複雑に交差する「オープン・V」と呼ばれるレイアウトでした。
しかし、現在は大規模な近代化計画を経て、「並行滑走路」を主体とした構成に生まれ変わっています。

- メインの6本: 東西方向にずらりと並ぶ並行滑走路。
- サブの2本: 強い横風が吹いた時に使われる斜め方向の滑走路。
このように、基本的には同じ向きに並べることで、複数の飛行機が同時に離着陸できる「効率の良さ」を追求しているのが最大の特徴です。
なぜ、そんなに多くの滑走路が必要なの?
「8本もあって、使いきれるの?」と思うかもしれませんが、これにはシカゴという土地ならではの理由があります。
- 全米屈指のハブ(拠点)空港だから
シカゴはアメリカ大陸のほぼ中央に位置し、国内線・国際線がひっきりなしに発着します。
1分1秒を争う過密スケジュールをさばくには、1本でも多くの「道」が必要なのです。 - 悪天候でも「止めない」ため
シカゴは冬の雪や強い風で知られる街です。
滑走路がたくさんあれば、一部が除雪作業で使えなくなったり、風向きが変わったりしても、運用を止めずに運用し続けることができます。
滑走路が多いことのメリット・デメリット
数が多いのは良いことばかりに見えますが、実は巨大空港ならではの悩みもあります。
⭕️ メリット
- 遅延が減る: 複数の飛行機が同時に離着陸できるため、空の上で待たされる時間が短くなります。
- 安全性の向上: 滑走路同士が交差しないレイアウトになったことで、地上での衝突リスクが大幅に減りました。
❌ デメリット
- 「地上散歩」が長い: ターミナルから一番遠い滑走路に降りると、駐機スポットまで移動するのに20分以上かかることも。「なかなか建物に着かないな…」という現象が起こります。
- 維持費と環境: 8本分の舗装を維持するコストや、周辺住民の方々への騒音対策など、管理には並々ならぬ努力が必要です。
さて、世界には他にも巨大な空港がたくさんあります。上位をチェックしてみましょう。
滑走路が多い空港ランキング(2025年現在)
1位 シカゴ・オヘア国際空港(米)8本
2位 ダラス・フォートワース国際空港(米)7本
3位 デンバー国際空港(米)6本
3位 アムステルダム・スキポール空港(蘭)6本
3位 デトロイト・メトロポリタン空港(米)6本
上位のほとんどをアメリカの空港が占めていますね。土地が広く、航空需要が非常に高いお国柄が表れています。
おわりに
世界一の滑走路数を誇るシカゴ・オヘア国際空港。
それは単に「大きい」というだけでなく、空の安全とスムーズな旅を支えるための、知恵と技術の結晶でもあります。
もしシカゴへ行く機会があれば、窓の外を眺めてみてください。
整然と並ぶ8本の滑走路は、まるで巨大な芸術作品のように見えるかもしれませんね。
