
成田から上海へ向かう春秋航空の便が、乗客同士の座席トラブルをきっかけにまさかのUターンとなりました。
機材不具合でも悪天候でもない、たった一つの席を巡るやり取りが、なぜ欠航や翌日への振替にまで発展したのでしょうか。
本記事では、その一部始終と背景を報道されたニュースからまとめていきたいと思います。
航空トラブルというと、機材不具合や天候悪化を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、今回の主役は、たった一つの座席でした。
成田から上海へ向かう春秋航空日本(Spring Airlines Japan)IJ005便が、離陸後およそ1時間40分で成田へ引き返すという珍しい事態に見舞われたのです。
その理由は、
「席を替えてほしい」
という、乗客同士の小さな衝突でした。
事件は、ある男性乗客が「連れの女性と隣の席に座りたい」と CA に座席変更を要求したことから始まります。
もちろん、座席変更自体は航空会社も日常的に対応しています。
しかし今回は、当該座席の乗客が「いや、それは困る」と拒否。
ここまでは、よくある、お席トラブルあるある、なのですが・・・・
男性はどうしても納得できなかったようで、搭乗後も不満を口にし続け、ついには機内が落ち着かないムードになっていったのです。
乗務員も丁寧に対応しましたが、状況は改善せず、トイレ付近で声を荒らげるような場面も報じられました。安全運航が最優先の航空会社にとって、落ち着かない乗客は大きなリスク。
機長は最終的に引き返しを決断し、IJ005便は約1時間40分かけて成田へ戻ることとなりました。
夜の成田に戻ってきた機体は、警察の立ち会いのもとで問題の乗客を降機させました。
ほかの乗客はというと……気の毒にもその日はもう飛べず、翌朝の振替便へ案内されたとのことです。
報道によれば、補償として1万円ほどが支払われたケースもあったそうですが、突然の強制お泊まりに、疲れ果てた旅客も多かったでしょう。
それにしても、座席問題がここまでの事態を招くとは、航空会社側も頭を抱えたのではないでしょうか。
座席指定には料金が発生するケースがほとんどで、
「どうしても一緒に座りたいなら、事前に指定しておこうね?」と、そっと肩を叩きたくなる案件です。
連れの女性と隣同士で座れないのは寂しいかもしれませんが、そのために200人規模の旅客全員を巻き込んでしまうのは、さすがにドラマチックすぎます。
もっとも、機内という密閉空間では小さな火種が思わぬトラブルに育ってしまうことがあります。
だからこそ、航空会社は、少しでも心配のある行動に対して慎重に対応しますし、乗務員の注意に従ってもらう必要があるのです。
今回の件は、まさにその象徴的な例と言えます。
SNS では、
「恋人と座れないのはつらいけど、Uターンはもっとつらい」
「映画のような話だけど、乗客からすれば笑えない」
といった皮肉まじりの声も見られました。
航空トラブルの原因は千差万別。
機材不具合でも天候でもなく、座席ひとつの問題で飛行機がUターンする──
その事実だけでも十分インパクトがあります。
そして何より、「たった一席のこだわりが、空の旅全体を揺らしてしまう」という今回の事件は、航空業界の繊細さと、機内という特別な空間の難しさを教えてくれる出来事でした。
あなたならどうしますか?
もし「席を交換してくれませんか?」と頼まれたら──心の余裕があるときは、そっと助け船を出してあげてもいいのかもしれませんね。
参考記事
・Record China
・People