
インスブルックを拠点にしたハイキング旅も、いよいよ終盤の5日目です。
今日はこれまでの岩山や深い渓谷とは趣を変え、見渡す限りの緑の草原(アルム)が広がるランガー・ケプフル(Rangger Köpfl)へ。
ここは地元の人々に「インスブルックのテラス」と呼ばれる、穏やかで美しい展望スポットです。
偉人の名を持つゴンドラに乗って
朝、インスブルックからバスに乗り、オーバーパーファス(Oberperfuss)の麓駅へ。

インスブルックから40分ほどで到着しました。

ここから山頂を目指すゴンドラは、地元出身の偉大な測量家、ペーター・アニッヒ(Peter Anich)の名を冠しています。
貧しい農家に生まれながら、独学で正確な地図を作り上げたという彼のフロンティア精神を感じながら、私たちも山へと出発です!

まず1本目、2本目のゴンドラを乗り継ぎ、中間駅のズルツスティッヒ(Sulzstich, 1,650m)に到着。

眼下には、澄んだ水をたたえる貯水池が見え、すでに美しいパノラマが広がっています。
幻の最新リフトと、予定外の「ご褒美」ハイキング
さあ、ここから最新鋭の3本目リフトに乗って、山頂へ…と思いきや、なんとリフトは運休中!
最新鋭のリフト(Peter Anich III)は、私たちが行った2025年6月時点では、2024年12月に完成したばかりとのこと。きっと天候や季節の調整で止まっていたのでしょう。
動いていればラッキーですが、山では「アルプスあるある」ですね。
「乗れないなら歩くぞ!」と気持ちを切り替えた私たち。
結果的に、これが最高の選択となりました。

リフトの最終乗り場から山頂までは、なだらかな草原が広がる別世界!
一面に広がる黄色いお花畑の正体は、「キンポウゲ(現地名:バターブルーム)」の仲間です。
実はこの花、牛たちが「美味しくない(少し毒がある)」と避けて食べるため、このように見事な「黄色い絨毯」となって残るんだそうです。
自然と動物たちが作り出した、6月のチロルならではの鮮やかな光景です。

カランコロン…というカウベルの音だけが響く静かな斜面を、牛たちとすれ違いながら歩きます。

荒々しい岩場のハイキングも良いですが、一面の緑の絨毯の上を歩くのは、まるで心も体も洗われるような優しさがありました。
360度の特等席で絶景ランチ
約300mほどの高さを登りきり、ランガー・ケプフル(Rangger Köpfl)山頂(1,939m)に到着!

ここからの眺めは、まさに「インスブルックのテラス」という名にふさわしい大パノラマ!

山頂に立つ木の十字架を前に、私たちが楽しみにしていたランチタイムです。
ここまで5日間、チロル地方をハイキングしてきましたが、はじめてここで地元の年配のご夫婦から話しかけられました。
観光で来て山を歩いている日本人・・というか、東洋人自体をみかけることがないようです。
たしかに、どこに行っても、観光客という雰囲気の人はおらず、けっこう目立っていたかも。
でも、嫌な顔をされるわけでもないので「珍しい」という感じなのかもしれませんね。

初日に登ったノルトケッテ連峰を、今度は南側から悠々と見下ろすことができます。
また南側を見れば、ギザギザとしたカルクケーゲルの岩峰群も迫力満点です。
水平に広がる景色は、これまでの垂直な景色とはまた違う、壮大な感動を与えてくれました。

地元の温もりを感じる「ロスコーゲルヒュッテ」
山頂で景色を堪能した後は、少し下ったところにある山小屋「ロスコーゲルヒュッテ(Rosskogelhütte)」へ。

この山小屋は、地元のスキー&ハイキングクラブが運営しているそうで、アットホームな温かい雰囲気が魅力です。
テラス席で絶景を見ながら、キンキンに冷えたオーストリアビール「Gösser」をいただく時間は、ハイキングのご褒美そのもの!

ここでの一杯を楽しみに、歩くモチベーションが保たれていると言っても過言ではありません。
オーバーパーファスへ下山
帰りは、再びズルツスティッヒまで歩いて下り、そこからゴンドラを乗り継いで麓へ。
岩山、砂利道、そして今日の草原。
毎日違う表情を見せてくれるチロルの自然に、改めて感動した1日でした。

5日目のまとめ
- ルート: オーバーパーファス →(ゴンドラ2本)→ ズルツスティッヒ →(徒歩登り)→ ランガー・ケプフル(ランチ)→ ロスコーゲルヒュッテ(休憩)→(徒歩下り)→ ズルツスティッヒ →(ゴンドラ)→ 麓
- 特徴: 360度のパノラマと、牧歌的な草原歩きが魅力。牛との遭遇率高し。
- ポイント: 最新リフト(Peter Anich III)は動いていればラッキー。動いていなくても、そこには最高のお散歩コースが待っています。